CFW(Cash for Work, 労働対価による支援)について、各方面から反応を頂いています。ありがとうございます。
法政大学の仁平典宏先生によるCFW考 http://togetter.com/li/112148
を受けて、もう少し具体的なCFWの提案をしたいと思います。
- CFWとは
災害対応・復旧復興事業などに被災者を雇用し、対価として現金を支給するプログラムのこと。元々は人道支援分野で労働に対して食糧を提供するプログラム(FFW)が存在したが、現金支給の方がプログラムを実施しやすく地域経済にも好影響を与えることが認識されるようになった。2004年のインド洋津波の被災地バンダアチェにおいてNGOらによって実施され、その後2008年ミャンマーで発生したサイクロンや2010年ハイチ地震の被災地でも実施され、大規模災害の被災者支援の方法として国際的には定着しつつある。なお、安政南海地震後に濱口梧陵が私財を投じて広村(現在の広川村)に巨大な防潮堤を築いた事業も、被災者の雇用維持に役立ったとされ、CFWの一種と考えられる(@terumotok, @Beniya_Shohei のツイートより)。1999年の台湾集集地震の際も「似工代賑」という被災者雇用の枠組みが用いられ好評であった。(@terumotok氏) - 今回の東北・関東大震災におけるCFWの目的
被災地における雇用創出を行いつつ、その後の経済活動再開を支援すること。対象は労働可能で収入を必要とする被災者。被災者に労働対価として現金が支給されることで、被災地内に需要を創出し早期の経済復興を誘発する効果も期待される。
なお、高齢者や障害者、マイノリティなどの災害弱者支援の枠組みは別途検討されるべきであり、すべての被災者に労働を強要するものではない。 - 対象地域
被災市町村(岩手・宮城・福島県内)。但し放射能汚染地域については別途枠組みを検討する必要。 - 対象事業
災害復旧公共事業 注1)
清掃作業 注2)
被災者支援業務
相談窓口(コールセンター)業務
被災者台帳作成業務
罹災証明発行業務
避難所運営業務
注1) 重要インフラや被害拡大防止のための応急復旧事業については対象外とする。経済活動の再開に不可欠な主要道路、ライフラインについては優先的に復旧する必要があるからである。
注2) 自宅のがれき撤去、清掃作業についてもCFWの対象とする。
- 実施期間
準備が整い次第開始し、おおよそ6ヶ月程度。順次縮小しながら、通常の経済活動への移行をめざす。
- 実施主体
政府・自治体・民間企業・NGOによる共同プロジェクトチーム
内閣府(防災担当)・・・ 激甚災害法の適用、省庁間の調整
厚生労働省・・・・被災者支援に係る発注業務の選定、災害救助法の適用、労働安全基準、賃金決定
国土交通省・・・・復旧事業に係る発注業務の選定
経済産業省・・・・被災事業所の営業再開支援(CFWから通常経済活動再開への移行)
総務省・・・被災者台帳の作成
建設業・・・復旧事業の一括受注。技術支援
情報通信業・・・・CFW業務支援システムの運用
人材派遣業・・・・労務管理
流通業・・・必要な資機材の提供
NGO・・・被災労働者の募集・受付・訓練、従前の営業再開への移行支援
日本赤十字社・・・義援金の活用
被災自治体・・・発注業務の選定 - 財源
災害救助法、国庫負担法、激甚災害法など災害復旧財源などの一部を充当
国、自治体はプロジェクトに対して業務委託費を支払う 注3)
義援金
注3) これは新規立法が必要。例えばコールセンターを設置する費用などまで救助法は想定していないはず。
- その他
CFWはあくまで時限的なプロジェクトであり、賃金水準や雇用条件については、その後の自立的復興を阻害しないように、被災地域の従前の賃金水準や経済情勢を見ながら慎重に決定されなければならない。
被災事業所が営業を再開すれば、直ちにCFWを縮小しその事業所に優先的に発注する「被災地発注」の枠組みに移行する。 注4)
これまで行われてきた被災者支援のためのボランティア活動を規制してはならない。特に、被災者支援については、外部のボランティアだからこそ出来ることも多い。支援が労働化することによって生じうる弊害をうまく緩和するためにも、既存のボランティアの枠組みと協力して行うべき。
注4)「被災地発注」 被災事業者に災害復旧・復興に必要な事業を発注し、雇用維持を行うスキーム。すでに我が国でも実績があり、例えば小千谷市・柏崎市で被災飲食業が被災者向けの食事提供を行った「弁当プロジェクト」などがある。
- 課題
市街地の面的復興事業について、今回の津波の経験から、元と同じ場所に市街地を形成するということが不適当だという意見も強いと思われる。このため、都市の復旧も早期に行えない可能性が高く、仮設市街地を設定するなどの対策が必要なケースもある。都市計画の専門家との連携は不可欠である。
- 参考文献
Paul Harvey(2007) Cash-based responses in emergency, HPG Report, 24.
Myanmer Red Cross Sciety(2009) CFW Project Progress Report
永松伸吾(2007)地震に負けるな地域経済:小千谷・柏崎発『弁当プロジェクト』のススメ, 独立行政法人防災科学技術研究所.
CFWの発想に賛成です。
ある程度生活が維持できる収入が実現できる職種開発は不可欠と考えます。
小生勤務先関連企業も被災企業ですが何とか従来雇用が確保できるように
検討中のようですが時間がかかる模様であり、そうした観点からも幅広い選択肢を
提供のため是非実現してほしいと考えます
壊滅した町の行政に携わるものです。
現在入院中につき、現場から一時離脱中で歯がゆい思いをしております。
このブログを知り合いの研究者に紹介していただきました。
CFWという発想に期待を寄せております。
現地では、既に瓦礫の撤去が始まっており、廃材はただ燃やされています。
事態はどんどん移り変わっております。
避難所の暮らしも緊急避難的な意味合いから、「生活の場」としての
クオリティーを求めるようなニーズに移ってきました。
物資の供給も偏っており、もはや十分行き渡っている毛布が山のように
積まれていたり、赤ちゃん用品が使い切れないほどはいってきたりする
一方で、要望の多い水のいらないシャンプーや、体を拭ける大型の
ウェットティッシュなどは、ほとんど入ってきていません。(3/24時点)
電気も水道も復旧が見込めず、燃料も行き渡らない中で、お風呂や洗濯を
どうすればよいのか。切実な要望です。
うまくいえませんが、CFWが「現地の人が不自由ながらも普通に暮らす」
ことができるようになることの手助けとなってくれたら、大変ありがたいです。
例えば、井戸を掘って水をくみ上げ、太陽光/熱やでお湯を沸かしたり
発電するような「銭湯」を開設運営するとか。
間伐材になるような杉の木は沢山ありますので、その活用のシステムを作り
バイオマス発電所を作って電力を供給するとか。
私見ですが、国や県の動きを待つのは遅きに失するのではという懸念があります。
わが町も調整機能に余力は残っていないように感じます。
説得力のある設計図があれば、国や自治体も納得するでしょうから、
民間ファンドとして迅速に動ける体制こそが、今必要なように感じます。
支離滅裂な文章で失礼しましたが、被災地からの一つの思いとして
受け取っていただければ幸いです。
一市民です。
CFWの趣旨に賛同します。
年齢的にハンディがありそうですが(67歳)何かお手伝いができるのではと考えています。
事務、PCでの整理などはできそうに思います。
市川市在住。
CFWに賛同いたします。
復興は”今”が大切であり,悠長な議論を交わしているヒマはありません。
この構想のキーポイントは,”行政”を当てにせず”行政”をうまく使うことだと思います。何かをやってくれと言っても調整だなんだかんだと言って,動きはなかなかとれません。NGOから動きを立ち上げ,その活動をマスコミにPRさせ,行政に協力依頼するというストーリはどうでしょうか。