CFW-Japan提案(永松私案)

 

東日本大震災からの復興に向けた

キャッシュ・フォー・ワーク(CFW)の提案

PDF版はこちら

2011/03/25 

CFW Japan(永松私案) 

1.CFWの目的

  1. 被災者に一時的な雇用機会を確保し、最低限の収入を維持しながら、地域経済の自立的な復興を支援すること。
  2. 被災者自身が自らの地域の復興に直接関わることによって、被災者に尊厳と将来への希望を取り戻し、地域の絆を高めること。

 2.CFWで雇用される対象者

  1.  CFW以外に生計の手段を持たない人々。災害時に被災地域内に居住していれば、物理的な被災程度は問わない。
  2.  健康で労働に耐えうる男女。但し高齢者、障害者など社会的弱者については、CFWとは別途措置が講じられるべきである。  

3.CFWが適用される事業

  1. CFWによって提供される業務は、途上国では主に公共土木施設の復旧業務であったが、事例のように単純労働・肉体労働に限定されるものではない。我が国の産業構造や今後の災害対応活動を考えると、事務的労働についてもその対象を拡大して考えるべきである。
  2. 雇用のために無理矢理創出された仕事であってはならない。本当に被災地の復興にとって必要で、被災者がやり甲斐を感じられるような仕事でなければならない。
  3.  重要インフラの復旧など特に緊急を要するものや、高度な技術を要する業務、危険な業務などはCFWの対象には含めない。

  以上を踏まえ、具体的にCFWの適用が可能と思われる事業を以下列挙する。

  •  遺留品の回収と持ち主への返品作業
  •  自宅周辺のがれきの片付けおよび清掃
  •  重要インフラの復旧を除くすべての公共施設や住宅の復旧
     
      建設現場の清掃業務、資材の運搬など
  • 民間企業の復旧・復興業務
  • 行政による被災者支援業務
      被災者台帳の作成業務
      罹災証明発行業務
      相談窓口、コールセンターの設置
      仮設住宅の見回り、給食配送、コミュニティ事務局業務
  •  ボランティア・NGOら支援団体が企画するプロジェクト
      ボランティアへの食事提供、宿泊提供
  •  学術調査業務
      調査団の案内、ガイド、アンケート・インタビューへの回答

4.CFWで支払われる賃金について

  1.   CFWの主要な目的は地域経済活動の自立的復興を促進することにあり、CFWが既存の産業と労働市場において競合することがあってはならない。
  2. このため、CFWで支払われる賃金は、市場で支払われる賃金より低めに設定されるか、少なくとも上回ってはならない。 なお、途上国の事例ではおおよそ20%から30%程度低めに設定されることが一般的である。
  3.  賃金水準が通常の経済活動よりも低く抑えられることによって、CFW以外に生計手段を持たない人だけが参加を希望することになる。これは、本当に雇用を必要とする人にCFWによる雇用機会を確実に提供する上でも重要である。

5.日本版CFWの具体的な枠組みについて

  1. 雇用・労働に関する有識者や関係機関の代表などによってCFW委員会を国レベルで設置し、賃金水準や雇用形態、参加資格、CFWとして適当な業務などについてのガイドラインを作成する。
  2. 各市町村毎にCFWセンターを設置し、以下の業務を行う。
    – 労働需給のマッチング
      就労を希望する被災者の年齢、性別、技能などに応じて適当な仕事を斡旋する。
    – 労務管理
      勤務時間の管理と支払うべき賃金の計算および支払い業務など
    – 被災地市場のモニタリング
      被災地の経済状況をモニタリングし、CFWが経済復興に悪影響をおよぼしていないかどうかを継続的に調査する。
    – 基礎的な職業訓練
      必要に応じ適当な職業訓練(コンピュータの操作など)を行う。
  3. CFWセンターの運営は被災市町村が十分に機能していない現状に鑑みて、人材派遣企業などの専門業者を核とした民間事業体に業務委託を行うことが適当である。同時に、センターの運営には被災自治体や雇用支援専門のNPOなどの協力を得るべきである。 その費用は国が負担するものとする。
  4. 被災者は、CFWセンターに登録することによって、仕事の斡旋をうける。但し、個々人で登録する方法だけではなく、各種団体やグループ単位での登録についても積極的に受け付ける。
  5. 被災自治体、ならびに被災地で活動する民間企業や支援団体は、CFWセンターを通じて被災者を雇用する。CFWセンターは、その業務がCFWにとってふさわしいかどうか、被災者にとって達成可能か、安全性は確保されているかなどの観点から内容を判断し、必要があれば業務内容の改善を提案する。
  6. 賃金は、雇用主体よりCFWセンターを通じて支払われる。賃金の支払いは銀行振り込みが基本だが、金融機関が機能していない場合は現金による支払いとする。
  7. CFWの財源としてCFWファンドを設置し、義援金を充てる。被災者雇用の財源を持たない支援団体は、ファンドにプロジェクトを申請し、承認されればファンドから賃金を支払うことができる。

  CFW体制図

  1 CFWの体制図

6.その他の留意事項

 1. CFWは緊急的措置であり、CFWによって支給される賃金を所得と見なすべきではない。 その理由は次の通りである。

 (1)源泉徴収事務が繁雑になりプロジェクトの実施が困難になること。

 (2)CFWに参加したばかりに生活保護や各種支援が受けられなくなるといった弊害を防止すること。

2.  被災地域内に存在する業界団体(例えば漁業組合など)を積極的に活用し、被災者をすべて個人で扱うのではなく、こうした団体への一括業務発注などを積極的に行うべき。既存の社会関係資本を活用すると同時に強化する。

3. 従来通りのボランティアによる被災者支援活動は共存させる。 すべてをCFWで代替できるわけではない。

 

 

 
 
 

永松 伸吾 の紹介

関西大学社会安全学部教授。災害経済学を教えています。現在LA在住。
カテゴリー: 未分類   タグ: ,   この投稿のパーマリンク

CFW-Japan提案(永松私案) への11件のコメント

  1. 内山武明 より:

    素晴らしい提案だと思います。
    自分が出した義援金は、配分がなかなか決まっていないようなのですが、こうしたことに拠出して欲しいです。
    たいしたことはできませんが、できることがあれば協力したいです。

  2. 日経ビジネス オンラインの記事とともに拝読いたしました。
    このテーマは早急に、関係行政機関の皆様を含め議論のうえ、まずは試行していただきたいと思う次第です。
    世界経済への影響が深刻にならないうちに、復興に着手できることを祈念してます。

    RISCON事務局長・佐藤健一

  3. 市川雄一 より:

    CFWの趣旨は非常に良いと思います。
    ただ、このままだと汎用的過ぎるがゆえに実現性と効果が限定的にならないかが懸念点です。
    今回の震災地域はあまりに広すぎるという点は、震災復旧・復興の内容とスケジュールが多様であるということでもあります。
    一方で、広範囲の被災地が漁業中心で成立しているという点もあることから、漁業復興に絞ったCFWと継続的な漁業支援ファンド(出資者への利益還元を海産物で行う地域ごとのマイクロファンド)創設という視点を入れてみるのはいかがでしょうか?

    調べてみたところ、岩手県だけでも三陸沿岸に小規模集落まで含めて20強の漁協があり、地域経済の大部分を漁業に負っています。
    実際に震災後に岩手沿岸部をくまなく歩き、見聞きしてきましたが生活の糧である漁業を復興できるかどうかがカギになるという声を多く聞きました。

  4. 杉本美帆 より:

    はじめまして。日経ビジネスより記事を拝見させていただきました。『CFW』共感しました、賛同します。私は、主人の営む建築板金、基礎工事の建設会社で主人とともに経営、事務全般を携わっております。昨今、被災地での悪徳リフォーム勧誘のニュースなどを耳にしたり、復興=お金と考える人も少なくないと思っています。確かに復興には、経済の活性化、ビジネスはつきものですが、復興って、被災者の方たちの人の心も体も復興することも大切なことですよね。遠方にいる私たちが、力になれることはないか、主人と話していたところ、記事を見て、被災者自身、技術ある方や、経験のある方などが、復興のために、被災者自身の生活のために技術や知識を出し合う組織があれば、素晴らし復興ができると思っています。私たちも協力できたらと思っています。ぜひ、ツイッターやブログ等で、このブログを多くの方に紹介したいと思います。

  5. 岩崎真希 より:

    日経オンラインの記事から来ました。
    素晴らしいアイデアだと思います。携帯電話会社に勤めている知り合いが被災地に入り、避難所で仮設の通信基地を設置し、とても感謝されたという話を聞きました。仕事を通じて被災地の支援に貢献できる仕事を非常にうらやましく思いました。被災者でない私もそう思いますので、被災者の方々こそ、被災地の復興に関わる仕事に従事できることを嬉しく思う人は多いはずです。
    ただ、被災者自身がボランティアとして活動しているケースも現状多々あるようですが、被災者が行う当該活動であれば、全て賃金(?というのでしょうか)が支払われるような形にしないと、不公平感が出るのではと思います。登録制などにするのでしょうか。。

  6. 山田 智啓 より:

    瓦礫処分について、膨大な量を燃料・建築資材・に再利用を提案します。
    阪神大震災時は神戸では山と山の谷を処分場として埋めまくりましたが、1年後
    廃材が自然発火し発熱ガスが発生し再掘削し分再処理に時間を費やしました。
    提案です海岸エリヤに国指定の再処理工場を設置 分別作業を人・機械で行い 良質
    材から燃料ペッレトを製造この冬の家庭用暖房燃料にあて、次の材からCF(セルロ-ズ
    ファイバ-)断熱材を製造「この製造には廃材分別に膨大な人の手分けがいります。ココに多くの雇用が生まれます」最終廃材からレアア-スを抽出、出来れば世界の見本となります、CFはネットでお調べください、日本の気候に適したECな材です。

  7. 小山裕司 より:

    永松様
    日経オンラインの記事から辿ってこのブログにやってきました。
    大阪で企業支援の事業を行っている者です。
    記事やブログを拝見して非常に感銘しています。
    最も、惹かれたのは被災した方々の心、それも今後の心の変化を予測して配慮された計画である点です。
    これを機会にブログを注目させていただきます。

  8. 田代 義磨 より:

    CFEファンドは 速やかに実施したい施策です。
    何か協力できることがあれば,お知らせください。
    私は,各企業のIRに義援金を公表するように督促しました。
    これを集計すれば,上場企業の義援金の総額が把握できると思いました。
    集計の得意なひとが是非統計を出していただければ幸いです。

  9. 藤岡 章泰 より:

    CFWの重要性はよくわかりました。質問させていただければ、このWORKには原発放射能封じ込め作業~汚染地域でのWORKはふくまれるのでしょうか?

  10. 関口みさ より:

    賛同したはいいものの、何も出来ず歯がゆい思いでおりました。
    CFWファンド、いいですね。
    以前テレビで、地域の活性化に色々なファンドが力になっているといった内容を見たことを思い出しました。
    地元の人と連絡を取ったり、被災地の現状を把握したりといった事が必要になる時があると思いますが、その時にはお声掛けいただければと思います。

  11. 青木淳一 より:

    永松先生 お疲れ様です。
    すごい! 読んだだけでうれしくなります。
    本当にこれなら「既存の産業と労働市場とに競合しない」で
    「既存の社会関係資本を強化」しながら
    「被災者が尊厳と将来への希望を取り戻し、地域の絆を高め」ながら働き、
    その結果として復興が形として現れてくると思う。

    ファンドをすぐに立ち上げてほしい。
    その義援金集めなら、いくらでも走り回ります。
    もしかしたら、もうしてるかなとも思いますが、
    国が委員会の立ち上げに動き出すのが遅ければ、
    見切り発車、もしくは同時並行で早く動き出すことを希望します。
    口蹄疫の時に国の動きを待っている間に、どんどん事態が悪化した経験から
    国をあてにしないで、既成事実を作る事が大切な気がします。
    もし結局国が委員会を立ち上げなくても、
    この活動の賛同者だけでもやるべきだと思います。
    逆にそのほうがいいとも思えます。
    とにかく、早く動き出せることをお祈りします。

コメントを残す